■プロフィール

にしみやうしろ

Author:にしみやうしろ
小田急沿線で生まれ、金沢で北陸鉄道にはまり、愛知では名鉄に臨海鉄道さらに森林鉄道、今ではすっかり私鉄・貨物ファンに・・・。
鉄道に由来していろんなものに興味を持つようになってしまいました。

■最近の記事
■最近のコメント
■最近のトラックバック
■月別アーカイブ

■カテゴリー
■閲覧数(2014/8/12~)

閲覧数(2014/8/12~)

■ブログ内検索

■RSSフィード
■リンク
■ブロとも申請フォーム
寸又峡温泉駐車場の千頭森林鉄道保存車~その3 運材貨車~
運材貨車も緑で再塗装。
2台とも富士重工業製モノコックトロです。
P1000121_20180326215908242.jpg

P1000157_20180326215909873.jpg
まあ以前も紹介してるので今回はこの貨車にも使われている空気ブレーキのお話。

●森林鉄道用SA型空気ブレーキ
森林鉄道では貨車にブレーキ手が添乗して汽笛合図などでブレーキハンドルやテコでブレーキを掛けてました。
しかしブレーキ力が弱くレスポンスが遅い、ブレーキ手にとっては非常に危険な仕事であることが問題視され戦後自動空気ブレーキの導入が図られます。
とは言え国鉄、私鉄用の機構をそのまま載せるスペースも無く費用もかかるため、森林鉄道用に機構を簡略化したブレーキ機構とする必要がありました。
新三菱重工業(現・三菱重工業)が開発したSA型空気ブレーキがモノコックトロに搭載され東京局では内燃機、北見営林局では蒸機をエアブレーキ改造して使われ始めます。
恐らく東京局ではこの千頭林鉄、北見局は温根湯林鉄に導入されたものと思われます。

ブレーキの仕組みは大雑把に↓のようなもの。
break1.png
・運転位置
ブレーキを解除して運転する時。
機関車はブレーキシリンダ内の空気が抜けてブレーキ解除
貨車はブレーキ管に空気が供給され空気圧約2.3kg/㎠でシリンダのバネを押しブレーキを緩め、2.7kg/㎠で完全にブレーキ解除。
ブレーキ管圧力は3.5kg/㎠まで上昇させる。

・ブレーキ位置
機関車は元空気ダメからブレーキシリンダに空気が送られてブレーキが掛かる。
貨車は元空気ダメからの空気がカット、排出されるためバネがシリンダを押し戻しブレーキが掛かる。
連結が切れた場合もエアホースからブレーキ管内の空気が排出されて自動的にブレーキが掛かる。

・重なり位置
機関車、貨車とも元空気ダメからの空気供給をカット、一方でブレーキ管の空気も排出しないので一定のブレーキ力が維持される。(実際には空気が少しずつ隙間から漏れるのでだんだんブレーキ力は弱くなる)

DSC_0652.jpg
岩崎レール製運材貨車では三菱のスリーダイヤマーク付きブレーキシリンダとブレーキ管が見える。

要するに機関車は直通空気ブレーキ、貨車はバネ代用の自動空気ブレーキです。
通常は貨車にも補助空気ダメを設け、運転時は元空気ダメの空気圧が補助空気ダメの空気圧に押し勝ってブレーキを解除、ブレーキ時は元空気ダメからの空気をカットして補助空気ダメの空気圧でブレーキを掛けますが、林鉄では三動弁や補助空気ダメを省略しバネで済ませています。
このバネで止めるブレーキについて某私鉄に勤めていた方に話したときは「そんなので本当に止まるのか」と驚いておられました(^ ^;)
営林署内でもやはりその疑問があったようで長野局野尻営林署ではエアブレーキ試作車を勾配線上で機関車から切り放し約60km/hまで加速、ブレーキ管を解放して非常ブレーキで止めるという実験を行ったそうです。
実験で添乗、ブレーキ操作した人の恐怖は計り知れませんね(汗)

営林署の工場では機関車や貨車だけでなくトラックや集材機その他もろもろの林業機械を修理しなければならず部品点数は少ないに越したことはありません。
またそこまで費用を掛けてられないというのも大きかったでしょう。
そう言えば旅客軽便私鉄でも大半の場合エアホースは見られませんね。

P1000229.jpg
頸城鉄道DC92。機関車自体はエアブレーキ装備だが客車、貨車の貫通ブレーキ化はなされていない。

DSC_0779_20180326231129a5e.jpg
なお赤沢自然休養林の森林鉄道客車は現役当時の運材貨車を台車としている(一部新製車を除く)のでSA型空気ブレーキシステムを堅持する貴重な存在と言うことに。
なお王滝せせらぎ線は最初の林鉄フェスでは運材列車で貫通エアブレーキを使いましたが見てる限りその後は使ってないはず。

参考文献:
伐木運材経営法(加藤 誠平/著 朝倉書店 1952)
林業機械(三品 忠男/著 林野共済会 1956)
近代化遺産国有林森林鉄道全データ 中部編(矢部 三雄/編著 信濃毎日新聞社)
スポンサーサイト


テーマ:鉄道 - ジャンル:趣味・実用

森林鉄道(前橋、東京営林局) | 23:24:13 | Trackback(0) | Comments(2)
コメント
そんなので
>そんなので本当に止まるのか
まあ真空ブレーキも似たような作りですし、限度はありますが止まるようには出来てますよね。
SA式の空気圧の3.5kg/c㎡というのは、普通鉄道用のブレーキ管圧5kg/c㎡の7掛けで決まったような気がしないでもないですが(面で受ける力は半分になります)。
逆に、今そこらで走っている鉄道の部品を、森林鉄道の車両に使ったり、あるいは何らかの都合でどちらかが他方に乗り入れて、緊急時に繋いでブレーキを使うということは出来ないわけですね。この圧力設計故に。
2018-03-28 水 22:34:47 | URL | たづ [編集]
軽便サイズ
たづさん、こんばんは。
実際今でも赤沢で止めてますしね。
数値はご指摘のようにきりのいい数字で算出されたのでしょう。
エアホースの径は通常の3/4とのことです。
かつては三重交→近鉄→三岐北勢線でもこのサイズのエアホースが使われてましたが現在はノーマルサイズを使っています。
阿下喜で保存されてるモニ226では自動ドア動作用のエアホースは3/4、ブレーキ用はノーマルが並んでぶら下がってました。
現在この軽便サイズ部品は基本的に製造して無いので保存鉄道にとって部品確保は悩みの種です。
2018-03-29 木 00:33:33 | URL | 西宮後 [編集]
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

まとめ